吠。
キツネです。
こうして夜風を感じていると、秋の訪れを感じます。
こんな夢を見ました。
道を間違えたってすぐに気が付いていたのに、自分に嘘をついて、そんなこと無いって目を瞑って、直進し続けた。
ずっと帰りたいって思っていたのに、壊した帰り道を認めたくなくて、一人で何度も泣くだけだった。
お互い帰るべきところに帰ったほうがいい、あなたの居場所はここじゃないと、見透かしたような声。
けれど、いざ振り返ると、帰り道どころか、帰るところまで無くしてしまっていた。
もう死んだって構わない、こんな、取り返しのつかない間違えを抱えた人生なら。
死ぬ勇気もないくせに、心は本気で死を望む。
壊れた花瓶は、直せばいい。つぎはぎたらけで、どんなに醜く、人から蔑まれ、みっともなくても、直せばいい。
何故だか、何かの本で読んだセリフを思い出す。
そんなことできるのか?
「失うものは、もう何も無い。」
だから、その粉々になった花瓶を、少しずつ、直していこうと決めた。
ゆっくり、どんなに時間が掛かっても。
無駄骨だって、構わない。
まだ、かけらの一つに触れただけ。
かけらの重さに手が震える。
かけらはいくつあるんだろう。